旧吹屋小学校 親水公園
岡山県 高梁市 吹屋
親水公園(旧吹屋小学校内)
所有者:高梁市
実施年:2020-2021年
・調査
・活用提案
・基本計画
・実施設計
廃校となった平成24年(2012)まで、現役最古の木造校舎として使用されていた旧吹屋小学校は、岡山県の重要文化財に指定されており、平成27年から建物を全解体して保存修理工事が行われていました。
この小学校敷地内にある、校舎周辺のプールや校庭などの利活用について、地域住民の要望を確認しながら、活用提案、基本計画、実施設計をおこないました。
中でもプールの活用については、撤去という選択も含めてさまざまな意見がありましたが、プールの水面に校舎が映り込むのが魅力であることなど、残す利点も多くあり、まずは今あるものを活用しようということになりました。
ただ、プールとしてそのまま活用するには、水槽も設備も古く、水の管理負担も増えるため、校舎を映し出す”水盤”としての役割も持たせた”池”として活用することになりました。
吹屋地域には、訪れた人がゆっくりと休憩できる場所が少なかったことから、校舎や周囲の山々の景観を眺めながら水辺で一息つけるような居場所となるように、腰かけられる場所を多く設け、親水公園として計画しました。
また、プールサイドはそのまま残し、その上にウッドデッキをのせてカバーすることで、人が腰かけられる場をつくると同時に工事費を抑えました(古くなったプールサイドの補修や撤去をせずに済む)。
仕上げ材は、木造校舎や昔から残る石垣などの周囲の風景に馴染むよう、できる限り自然石や天然芝、木製ウッドデッキ(樹脂製ではなく)、土系舗装材などを使っています。
また、吹屋の特性として興味深い話がありました。
地域住民の話を聞くなかで「吹屋の山から湧き出る水の貯水槽には藻が生えない、塗ればアトピーも治ったらしい」という話です。ここが鉱山跡であることから、山から湧き出る水に鉱物が含まれるためではないか、というのです。
管理面や安全面を考慮して池の水深を浅くしたため、水温が上がりやすく藻が生えやすくなるのではないかという懸念があったことから、実験的に池には山の湧水を足し入れています。